達人列伝

Vol.1 ハナシマレーシング代表 花島広樹

第1回「お互い、話したくないオーラを発していましたよね(笑)」
ル・ボーセモータースポーツとともにレースを戦う『達人』を紹介する、このコーナー。最初に取り上げるのはハナシマレーシングの花島広樹代表です。ル・ボーセモータースポーツのエンジンメンテナンスを、F3のみならずスーパーFJなども担当。今では坪松唯夫代表も全面の信頼を寄せる人物ですが、以前の印象はまったく違ったそうです。当時の印象と、一緒に仕事をするようになったきっかけについて、まずは話してもらいました。
坪松 「花島さんと初めて仕事したのは、2005年からですよね」
花島 「そうですね、(ダラーラ)F305のテストからだから、今年で6年目になりますね」
坪松 「けど、それまでがね……。前から知っていましたけど、顔と名字だけで」
花島 「大嫌いでしたから(笑)」
坪松 「それは、俺が言う言葉(笑)。挨拶ぐらいはしていたけど、嫌いビームがどっちからも出ていましたもんね。嫌いっていうか、話さない。話そうとしなかったですよね?」
花島 「そうですね、別にね。というのは、お互いフォーミュラトヨタをやっていたからですね、『うちのエンジンを使わないで、何やっているんだ』って」
坪松 「遅いのに、使えないじゃないですか(笑)」
花島 「でも、遅いエンジン使わないと、ドライバーうまくならないでしょ!(笑)」
坪松 「確かにフォーミュラトヨタの時は、ライバルでもあったんでね。うちは最初、違うエンジンチューナーのエンジンを使っていたし。だけど、ある時、エンジンが壊れちゃったんだけど、いろんな事情があって、スペアのエンジンを出してくれなかったの」
花島 「それでどうしたんですか?」
坪松 「それで途方に暮れていたら、芹沢(RSセリザワ代表)さんが『貸してあげるよ』って」
花島 「そんなことがあったんですか?」
坪松 「それで、それ以降、芹沢さんにエンジンお願いすることになったんです」
花島 「じゃあ、僕がそのへん、チョロチョロっといたら、良かったんですね」
坪松 「そう!芹沢さん、優しくしてくれたから(笑)。でも、今は花島さんだけど、その頃は鳥居(ハナシマレーシングの前身、トリイレーシング代表)さんでしょう? 鳥居さんって取っつき難い感じがしたんだよなぁ」
花島 「プッ(笑)」
坪松 「だから、お互い喧嘩したとか、何があったとかない、普通にライバルだっただけ。
ただ、『俺と話しやがらない』って」
花島 「ちょっと、そっち系のオーラありましたよね。僕も目が合わないなら、合わせない方がいいぐらいの感じでしたから。お互い、話したくないオーラを発していましたよね(笑)。まぁ当時はうちのエンジンじゃなかったから、勝ってもらいたくないというのは当然あるじゃないですか。それでも確実に上位に来るんで……」
坪松 「だけど、どっかに認めるところはあったんですね。F3をやることになって、エンジンチューナーどこにしようかってなって、フォーミュラトヨタとF3はまた違うじゃない。世界も違うし。そうしたら、トリイレーシングに世話になった方がいいかな、と思ったんだよね」
花島 「じゃあ、坪松さんから頼んだんですか?」
坪松 「そうですよ。鳥居さんからは何も言われたこと、ないもの。俺はFRD代表の藤村さんを通して、『何かやる時には鳥居んとこのエンジン使ってやれよ』ってフォーミュラトヨタの時から言われていたけれどね」
花島 「そういえば、だいぶ昔に藤村さんと一回、坪松さんのトコ行って、寿司奢ってもらった。そん時、確かに藤村さん、そういうこと言っていましたよね」
坪松 「だけど、そのことをこないだ久しぶりに話すまで、俺も全然覚えていなかった。だから、ろくに心のこもった話はしていなかったんでしょうね。まず、こういう笑顔の話はなかった」
花島 「まぁ、そんな感じでしたからね。だからルボーセがF3をやると聞いた時、誰かからトムスのエンジンで決めたとも聞いていたんですよ。なのに、(鳥居)社長に『それをお前、とってこいよ』ぐらいのことを言われたんですよ。決まったものはうちにできないでしょう、って思っていたのに、しばらくしたら『うちのエンジンにするってよ』って。俺は社長からそう聞いていたんですよ」
坪松 「それ、いま分かったの?」
花島 「いま分かった(笑)」
坪松 「なれ初めがね。鳥居さんからは来なかったよ」
花島 「ああ、そうなんだ! うちの社長、役者でしたね」
坪松 「俺が電話で、お願いしたいって言って」
花島 「そういうことだったんですか」
坪松 「だから、俺が一方的に好きになり始めたの、ある意味。俺が歩み寄ったんだよ!」
花島 「そうだったのか!」
坪松 「また、心を開けたでしょう?」
花島 「うん」
    次回は一緒に仕事してみて感じた印象について話してもらいましょう。